自由に動けない電子は「束縛電子」です
物質の固体中の電子には、
①原子の原子核から束縛を受けずに運動できる電子と、
②原子の原子核に束縛された電子
とがあります。
①の「自由電子」に対して、
②を「束縛電子」と呼ぶそうです。
自由電子は、1つの原子核との結びつきが弱く、1つの原子核に束縛されていないので、自由に動くことができます。
電圧をかけると、自由電子が一斉に移動し、これによって、電気が流れます。つまり、電気の正体は「自由電子」です。物質には、電気を良く通すものと、ほとんど電気を通さないものがありますが、この違いは、自由電子があるかないかの違いによるのです。例えば、金属の場合、たくさんの「自由電子」があるので、電気を良く通します。一方、ゴムなどでは、「自由電子」がないので、電気を通しません。
エネルギーバンドの観点から、自由電子、及び、束縛電子を説明すると、(おそらく)次のようになります。
「自由電子」とは、伝導帯(部分的に電子が詰まったエネルギー帯)にある電子です。この伝導帯における電子=自由電子は、容易に他のエネルギー状態をとることができ、自由に動くことができます。そのため、電圧をかければ自由電子は移動し、電流が流れます。金属は、伝導帯を有します。
他方、「束縛電子」とは、充満帯(すべてのエネルギー準位が電子で埋め尽くされているエネルギー帯)にある電子です。充満帯に存する電子=束縛電子は、近くに移動可能なエネルギー準位がないため、自由に動くことができません。そのため、電圧をかけても電子は移動せず、電流は流れません。ゴムなどの不導体は、伝導帯及び自由電子を持たず、すべての電子が充満帯にある束縛電子なので、電流が流れない、ということになる(と思う)のです。