澤田 瞳子「泣くな道真 大宰府の詩」 こんな道真公も魅力的!
菅原道真公が太宰府に左遷された後を舞台にしているという珍しい小説。陽気な描写が多く、とても楽しめました!道真公のファンとしては、こういう切り口も嬉しい。
本作品の道真公は、とにかく喜怒哀楽がはっきりしていて、あまり学者っぽくありません。
道真が、当時最高の教養人としての能力を生かして唐物の真贋の目利きを務めたり、太宰府の危機を救うために自ら最高の贋作を作りあげたり、左遷後の道真公は、辛いこともありながら、生き生きとしています。実際に、道真の太宰府での暮らしがこうだったんじゃないか、そんな風に思わせてくれる、素敵な作品です。こういう想像力が豊かでありつつ、ありそうな物語って、魅力的です。
なお、道真以外の推しメンは、大弐・小野葛絃!
彼は実在の人物で、初代遣隋使として有名な小野妹子の子孫です。ただ、小野葛絃その人について Wikipediaの項目もないので、彼自身については資料が多くないのかも。
本小説でも、登場シーンは多くないけれど、ラストがもう痛快!道真公と話したことはなかったはずなのに、互いに分かり合えていて、2人で都の嫌な役人を追い返す!読んでいて、スカッとします。
ちなみに、主人公は架空の人物だそうです。彼もなかなかいい味出してますよ(^^)